クレジットカードが使えない大手チェーン店がたくさんあるワケ
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レストランで食事を終えて財布を開いたら、現金が心細い。クレジットカードを取り出したら、お店の人間に申しわけなさそうに「使えません」と言われてしまった…よくある経験だ。
スパゲッティが280円という激安価格が売りのイタリアン。ファミリーレストラン「S」は、全国にチェーンを展開しているが、カードは使えない。また、こじんまりした個人経営の居酒屋、立ち飲み屋など、カードを使えそうで使えない飲食店は意外に多い。
「飲食店はカード会社に手数料を5%とられますからね。単価が安い店だと利益が飛んでしまうんです」(税理士)
店がカード会社に支払う手数料は、小売系で3~5%、水商売や風俗系では10%近いといわれている。業種によって手数料が違うのは″回収不能″のリスクを手数料で吸収するためだという。
つまりバーや風俗店で豪遊する人々は、カード会社にとって焦げ付き率が高いというわけだ。
カードは、払う方は便利だが、店側にはあまリメリットがない。飲食業界は利益率5~15%の薄利商売。毎日の仕入れのための現金も必要だ。しかし、カードの現金決済は2~3ヵ月先になる上、手数料を引かれ、さらに振込手数料も「他行窓口」扱いの場合、630円前後差し引かれる。伝票のやりとりの事務的な手間、切手代…時間もお金も食われてしまうのだ。
たとえば客単価500円の喫茶店でカードをOKにすると、振り込み手数料分が赤字になってしまう。カードの客には現金額に5%上乗せしている店もある。ランチはカード不可にしたり、「3000円から」などとカード利用の下限を設けたり、店側はカード防衛に懸命だ。現金払いの客がなによりのいいお客さんなのである。