食べ放題の焼肉や寿司のお店で元をとれるか検証した結果
contents
- 1.焼肉食べ放題の実態
- 2.その他の食べ物の原価について
- 3.すし食べ放題
- 4.レストランのランチタイム
食べ放題業態のなかでも人気を三分する「焼肉」と「すし」。大衆店では焼肉食べ放題は980円~2900円、すし食べ放題なら1980円~3980円ぐらいが相場となっている。
ではこういった食べ放題業態で、元をとる得をする食べ方はあるのだろうか?
まずは焼肉食べ放題の実態を知っておきたい。
都内で90分、肉食べ放題で2500円と、安さを売りにする焼肉食べ放題店の店員に話を聞いた。
「うちの店ではお客さまひとり当たりが食べるお肉の平均原価 を500円と計算しています。つまりお肉だけで見れば食材原価率は20%程度です」
飲食店の平均的な原価率は30~35%が相場。なので焼肉食べ放題はそもそも消費者にとってお得な業態ではないと言える。しかし食べ方によってはお店が設定している500円という原価以上食べて帰ることも可能だろう。
「お肉のランクにもよりますが、私たちのお店で提供する肉で一番原価が高いのはトントロです。1皿約100グラムで原価 は250円になります。これは筋など余計な部位を廃棄するので、実際の仕入量よりも提供できる量が少ないため割高になるためです。続いてタン塩190円、ミノ100円と続きます。ちなみにカルビは1皿35円、ロースは50円、レバーは33円と意外にも安価なんですよ」
ならばトントロやタン塩を中心に食べれば得ができるのか? しかしそうはいかなかった。トントロやタン塩のような原価の高い商品はお替わり不可と指定されているとろこが多い。つまりどんなにがんばっても、ロースやカルビレバーだけを食べ続けることになる。
結論としては、少しでも原価の高い商品を中心に食べるのが一番お得な食べ方なのかもしれない。
「他の焼肉食べ放題店に行ったら、和牛や骨つきカルビがあればそれを中心に食べますね。なければカルビやロースよりも若干原価が高いハラミを中心に食べます」
皮1本10円
ケーキ1個80円
かけそば60円
天ぷらそば110円
かつ丼180円
ぶっかけうどん60円
きつねうどん80円
ハンバーグステーキ100円
オムライスビーフシチュー150円
トマトソーススパゲッティ125円
焼きギョウザ90円
炒飯120円
醤油ラーメン185円
マックポテトM15円
ハンバーガー60〜80円
ショートケーキ15〜30円
イカ焼き120円
かき氷35円
わたあめ10円
ベビーカステラ56円
宅配ピザ300円
もんじゃ焼き105円
ペペロンチーノ105円
焼き鳥20〜30円
コンビニおにぎり60〜70円
ミスドドーナツ高くて20円
うまい棒8円
板チョコ10円
ソフトクリーム100円
カレー150円
納豆16円
フランスパン30円
ポカリスエット1円350ml
コーラ5円以下350ml
ビュッフェの原価
・寿司(マグロ、ウニ)…一貫200円~300円
・寿司(赤貝・イカ)…一貫100円
・寿司(玉子・ツナマヨ)…一貫50円
・ビーフステーキ…800円
・ローストビーフ…550円
・マルゲリータピザ…400円~500円
・魚介のグラタン…470円
・インド風カレー…450円
・冷製パスタ…420円
・ハンバーグ…400円
・フルーツタルト…380円
・チョコレートケーキ…280円
・ナン…200円
・NY風カップケーキ…80円
・ハワイ風パンケーキ…78円
・クロワッサン…77円
・魚の西京焼き…75円
・肉巻きおにぎり…73円
・カクテル…60円
・コーンスープ…40円
・ラーメン&うどん…50円
・コーヒー&紅茶…35円
3. すし食べ放題ではどうなのか?
都内の回転すし店で働く職人に、すし食べ放題店での得する食べ方を教えてもらった。
「お店の仕入れコストにもよりますが、原価的に得をする食べ方は中トロやウニなど原価80から90円のネタばかり食べることでしょう。ですが、現実問題として、トロ、ウニなどは脂分が多かったり風味に個性が強いネタばかり食べられるものではありません。半分以上のネタは原価15から30円程度のヒラメ(実際はオヒョウ)やイカ、カンパチになるのが普通の人です」
この例でいくと2980円のすし食べ放題店で、原価90円の中トロを20カン食べると1800円となり原価率は60%の計算になるが、原価20円のヒラメなど自身魚20カンでは原価は400円で原価 率は13%にしかならない。同じ量を食べてもこれだけ原価に差が出るのだ。
前出のすし職人が言うとおり、脂の多い魚は多く食べられないという理屈を適用して、中トロと自身魚を10カンずつ食べると原価1100円(原価率37%)となり、飲食店の平均原価率30から35%の範囲程度である。つまり、得をしたいなら、中トロやウニを中心に食べるしかないのだ。
しかし、安いネタでも尋常でない量を食べれば得するのでは? 確かにそうだが、すし1カンはネタ13グラム、シャリ20から25グラムで計35グラムのボリュームだ。つまり20カン食べると700グラム、30カン食べると1キロを超える量になってしまう。
よほどの大食漢でもない限りこんなには食べられるものではないだろう。
つまり食べ放題のすし店では、単価の高い中トロやウニを好きなだけ食べ、口直し程度にほかのネタも食べるのが一番お得な食べ方と言えよう
4.高級レストランのランチタイムはどこも女性たちで溢れかえっている。とにかく安いのだ。
たとえば南青山のイタリアン「F」はlFクロークに荷物を預けられる、ワインバーのある邸宅レストラン。豪華な盛り花の飾られた空間で供されるパスタランチはデザート、コーヒー付き1200円。クロークの人件費までまかなえるとは思えない。
日本料理系はさらにお得感が高い。
たとえば赤坂「R」は、2階は全個室仕様で、ピカピカに磨き抜かれ、居心地は高級料亭。1000円の「御膳ランチ」には産地直送の新鮮な刺身や焼き物、煮物、酢の物に、仕上げの蕎麦がゆまで付いている。両店とも、夜のメインコースは8000円台の高級店である。
どうしてランチだけ、そんなに安い価格で提供できるのか。
「レストランは、釣りあいのもとで成立しているんです。レストランが利益を上げるには、材料原価率30%がギリギリのライン。ランチでたとえ原価率が50%を超えても、夜とのバランスで30%を確保できればいいわけです。ランチのお客さんが夜の予約をする場合もあり、店の宣伝としての意味は大きいです。
「ランチしか行かない」という人も増えて「宣伝にならない」という声もと語るのは料理店のオーナー。
また、価格を下げられる、仕入れと人件費の秘密もある。
ランチは通常どの店も夜のコースと違って2~3つの少数のメニューで構成している。つまり、まとめて大量に仕入れ、よい材料を安く買うことができるため販売価格を下げられるのだ。
また、食材の回転の問題も解消できる。
店としては、生鮮ものは1日で使い切りたいし、冷凍ものの高級食材も、電気代やスペース代がかさまないうちに使い切りたい。前日に余ってしまったこれらの食材や、夜のコースで使用しなかったヒレ肉などの半端なカットもランチに回すことができる。
さらに、板前もコックもフロアスタッフも、メニュー数が少ないため夜ほどの人数が必要ない。そのため人件費を抑えることができる。
寿司ランチも低価格
日本を代表するようなすしやてんぷらの超一流店入門にも、ランチはおすすめだ。カウンターで夜、熟達の職人芸に見とれながら心ゆくまでてんぷらやすしをつまんで飲んだら、最低でも2~3万円はかかる。名人芸のパフォーマンス料とも言える。ランチならぐっと手軽だ。
「板前のいる高級店は、ランチは練習台を兼ねていることもあって、安く設定しているんですよ」
と元板前。すしは一人前になるまでに「握り3年、巻き8年」、てんぷらはさらに時間がかかると言われる世界。カウンターの内側には、なべ磨きや使い走り専用の「ボウズ(追い回し)」から、ひんぱんにカウンターに立てるようになった「にばん(立板、婿板)」、すべてを仕切る花形板前の「花板」まで、修行年数と実力に応じてヒエラルキーがある。
「花板」は夜のお客にエネルギーを投入し、ランチタイムは「にばん」がカウンターの主役になる店が多い。にばんといっても花板と実力伯仲。頭角を現してきた若手に、カウンターデビューをさせるのもランチタイムだ。