女性に合ったウェイトトレーニングの方法は男性とは違う
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1.女性に合った方法を見つけよう
女性の身体は男性と違います。にもかかわらず、ウェイトトレーニングでは女性も男性と同じ方法でトレーニングしています。これで本当に良いのかどうか、考えてみる必要がありそうです。
ウェイトトレーニングの解説書は、そのほとんどが男性を対象にしたものです。それを金科玉条として女性も同様の考え方と方法でやっていても、それなりの効果はありますが、それは女性に一番合った方法とはいえません。女性の骨格の特徴である脊椎の生理的湾曲や骨盤および骨盤内臓器のホルモンサイクルを無視したトレーニングではいずれ無理が出てきます。
女性の身体は、もともと外部からのストレスから身体を守るのに適した構造をしています。外から力が加わると、それを逃がすように働きます。ウェイトトレーニングの負荷も外部からのストレスとみなし、目的の筋肉に刺激がダイレクトに伝わりにくいきらいがあります。負荷をかけたつもりでも他の部位や身体全体を使って負荷=ストレスを分散させてしまいます。そのため、トレーニング開始直後は効果が出ますが(初期効果)、その後なかなか目に見えた効果が表われにくくなります。それでトレーニングをやめてしまう女性も多いようです。
女性の身体を外見的な特徴から男性と比べると、
①皮下脂肪による丸みのある身体を持ち、
②背骨(脊椎)のS字カーブ(生理的湾曲)が大きく歩行動作や日常的な労働から身を守る働きをしており、
③骨盤が男性より大きく、
④身体の重心が男性はやや前方にあるのに対し女性は後方=踵の方にある
などが特徴的な差としてあげられます。
生理期の前後などはホルモンの影響で骨盤の可動域にも差異が生じて重心の移動が起こり、同じトレーニングをしているにもかかわらず、いつものように刺激が伝わらないという傾向も現われます。いつもと姿勢が違うように見えたり、ハイヒールがうまく履けないという人もいます。
こうした差異がある中で、男性と同じようにトレーニング効果を上げるには、それなりの工夫が必要です。
①トレーニング種目を細分化して筋が運動することを極力おさえ、なるべく目的の筋単体に刺激が伝わるようにする
②ベルトなどを使い刺激の伝達を意識しやすくする
③足底に台木などを敷きあらかじめ重心を移す
④グリップを適宜使いわける
などが、すぐできる工夫です。
女性が男性に比べて筋肉を強化したり大きくしたりするには向いていないことは否めません。しかし、少し工夫するだけで効果にかなりの違いが出ます。 一般的には最大50%程度まで筋カアップが可能です。
2.一般女性のための基本トレーニング方法
ウェイトトレーニングは体力や健康的な身体・体型を作り上げるのにとでも効果的な方法です。それは他の運動やスポーツが副次的に体力や身体的発育を促すのに対し、ウェイトトレーニングは自分の希望や目的に合わせ方法や計画を個別に設計することができ、直接的に働きかけることができるからです。
柔軟性をそこなわずにシェイプする
女性は男性に比べて筋量が少なく、身体を筋肉で硬く守ることができないため、関節や骨格の柔軟性を高めて外部からのストレスを分散させています。しかし、その柔軟性も、いずれ加齢とともにそこなわれていきます。そのときしっかりとした筋肉がないと身体の結合組織、腱や靭帯、関節、骨格等が不安定になり、外的ストレスに耐えられなくなってしまい、日常生活でもいろいろ不便が生じます。筋肉を鍛えておくと日常生活でも身体が楽になり、女性に多い便秘なども改善させることができます。
そこで、一般女性の場合は、女性特有の身体の利点である柔軟性をそこなうことなく身体の主要大筋群を鍛え、筋肉の熱量消費作用により基礎代謝量を高めながら全身をシェイプするトレーニングを基本とします。
大筋群から鍛える
大筋群とは文字どおり大きな筋を指します。人体には多くの筋が骨格をおおっていますが、その中には笑う時に働く筋肉とか、噛む時に働く筋肉とか、あるいはある関節が動く時にそれを支えている筋肉等々、小さな筋肉がたくさんあります。大筋群とは、そうした小さな筋肉ではなく、全体的に体表に近く、外的な衝撃から身体を守り、体型を形造っている大きく張った筋肉のことを指します。胸の胸筋群、背中の背筋群、おなかの腹筋群など体幹部と、大ももの大腿筋群などがその代表的なものです。
女性は男性に比べ大筋群の発達が少なく、代わりに脂肪がつくことが多いのはご承知のとおりです。筋肉の量を増やし、代謝を高めることによって脂肪の消費を促し、身体をシェイプできます。
小筋群は指導者の指導を受けながら
主要大筋群のほかにも頸(首)部、肩部、腕部などトレーニングの必要な部位はありますが、これらのトレーニングについてはフォームやグリップ、スタンスなど難しいものがありますので、専門のトレーナーやインストラクターの指導を一度直接受けた方がいいでしょう。特に頸(首)部については、種目によって傷・障害を受ける危険をはらんだものもあるので、指導者の指示のもと、できればパートナーと一緒に行うことをすすめます。
胸→背→腹→脚、大腿は二頭→四頭の順に
では、ここに女性初心者のための初期4週間のトレーニングプログラム例を紹介します。
トレーニングは、
・胸(大胸筋群)
・背(背筋群)
・腹(腹直筋)
・脚(大腿二頭筋、大腿四頭筋)の順に行っていきます。
トレーニング頻度は、
・最初の2週間は週2回
・第3週から週3回までとします。
トレーニング時間は、
・45分(ウェイトトレーニングのみ)を目安に
・インターバル(セット間の体息)は30~45秒くらいの1分以内とします。
トレーニング前後には、
・トレーニング前にエアロバイクやランニングマシンなどのエアロビック運動を15分以上と、主要部位のストレッチングでウォームアップ。トレーニング終了後にクールダウンとしてストレッチングを行います。
3.4部位で5種目4セット
プログラムは5種目4セットずつの計20セット。全体のセット数からすると少々多いセット数ですが、第1セット目に高重量を使用しないプログラムになっているため、各トレーニングのウォームアップを兼ねています。
ウォームアップおよびストレッチングの後、胸のトレーニングから始めます。
胸部
胸は大胸筋を主働筋とする種目を行います。初心者にはマシンのベンチプレスをすすめます。 マシンの方がいいのは、身体を固定しやすい。ウェイトの増減が楽。バーベルと違い挙上しきれずにつぶされることがない。軌道が一定している。などで、マシンは初心者にとってトレーニング上達の早道といえます。
胸部のトレーニングとしては、ほかにバタフライマシンがありますが、どちらか一種を選んで行って下さい。バタフライは直接大胸筋を刺激するトレーニング種目として知られますが、腕の位置を変えることで胸部のさまざまな部位に刺激を送ることができます。
背部
背部のトレーニングはラットプルダウンかバックエクステンションから一種を選んで下さい。ラットプルダウンは背の逆三角形をつくる広背筋群を特に刺激し、バックエクステンション(背筋台を使用した背筋運動)は背筋下部(腰に近い部分)を刺激します。
腹部
腹部のトレーニングはクランチと呼ばれるエクササイズと、シットアップといわれる一般的な腹筋運動を行います。腹筋が意識しにくい人や筋力が弱い人はクランチから始めると良いでしょう。自分の体重が負荷となるため、反復回数は一応の目安として10~15回を1セットとし、両方とも3セット行います。
脚部
脚のトレーニングは2種目行います。
大腿部の筋肉は大ももの表側と裏側に分かれます。表側が大腿四頭筋、裏側が大腿二頭筋。
大腿四頭筋は膝を伸ばす働きをする筋肉で、ちょっとした運動の後に膝の上が痛くなるような人はこの筋肉が弱くなっている可能性があり、反対に裏側の大腿二頭筋は膝を屈する働きのある筋肉で、ここが弱いと腰や膝裏が痛くなったりします。
大腿四頭筋に比べ大腿二頭筋の方が筋力が弱いためトレーニングは大腿二頭筋の方から始めます。大腿二頭筋強化の代表的エクササイズはレッグカールですが、 レッグカールは、 つま先を伸ばす(底屈・ポイント)フォームと、踵を突き出す(背屈・フレックス)フォームの2種を使い分けます。ポイントのときは膝に近い部分の大腿二頭筋を刺激し、フレックスのときは大臀筋に近い部分により強い刺激が伝わります。2フォームとも行うのがベターですが、どちらかのフォームを選んで行ってもいいでしょう。
大腿四頭筋は身体中でも最も大きい筋肉で、最も力の強い筋肉でもあり、身体動作の要となります。この筋肉をうまくトレーニングすることは効率よくカロリーを消費するカギとなります。レッグプレスとレッグエクステンションの2種から一つ選んで行います。
マシンで行うものが多いですが、ちょっとした工夫で効果を何倍にもできます
4.女性とウェイトトレーニング
女性の間にウェイトトレーニングがそれほど違和感なく迎えられたのは、80年代後半以降、ここ10年ほどのことです。運動不足解消のためばかりでなく、ウェイトトレーニングが痩身にも効果的であることが宣伝された影響も大きいでしょう。
しかし、ウェイトトレーニングを実践している女性は、一部のアスリートを除くと、まだまだ微々たるものですし、実際にその効果を実感できている女性は少ないようです。
効果が実感できないのは、余りに即効を求め過ぎて長続きしないなど理由はいろいろあるでしょうが、最大の理由は、もともと女性はウェイトトレーニング効果の出にくい身体にできているうえに、男性を対象にした指導そのままに女性も行っていることにあります。
ウェイトトレーニングの解説書はほとんど男性を対象にしたものです。それをそのまま女性も使っています。いくらそれが正しくても、女性に一番合った方法とはいえません。男性と女性では身体のつくりが違うので、男性と同じトレーニングをしていて良いわけがないのです。
女性の身体は外部からのストレスから身体を守るようにできています。ウェイトトレーニングによる刺激も外界からのストレスとして身体全体を使ってストレス=負荷を分散させてしまいます。目的の筋肉に刺激がダイレクトに伝わりにくく、動作の割に筋肉運動を半減させているのです。
そこで、トレーニング効果を上げるには、それなりの工夫が必要です。
①トレーニング種目を細分化して筋が運動することを極力おさえ、なるべく目的の筋に刺激が伝わるようにする
②ベルトなどを使い刺激の伝達を意識しやすくする
③重心が後ろに反り気味のため足底に台木などを敷き、あらかじめ重心を移す
④グリップを適宜使いわける
などです。
ウェイトトレーニングというと、女性はすぐ「筋肉モリモリ」「ムキムキマン」を連想するようですが、そんな心配は無用です。女性は男性に比べて筋量が少なく、身体を筋肉で硬く守ることに適していません。
そのぶん関節や骨格の柔軟性を高めて外部からのストレスを分散させています。その柔軟性が女性の持ち味といえますが、しかし、その柔軟性も、いずれ加齢とともにそこなわれていきます。
女性特有の身体の利点である柔軟性をそこなうことなく、まず身体の主要大筋群を鍛え、筋肉の熱量消費作用により基礎代謝量を高めながら全身をシェイプするのに上手にウェイトトレーニングを活用して下さい。
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